茨城県より発電機の不具合でお預かりしました。
ホンダインバータ発電機EU9iEntry。
症状は:運転時に本体がブルブル振動しエンジン回転も不安定だそうです。
早速現状確認をするとおっしゃる通り。
エンジン回転が息つきして機体振動が発生。
バタバタな状況…
お客様曰く、地元の修理店で過去5年間にキャブレターを3回交換、燃料フィルターやスパークプラグも交換済み。
んん~、どうなんでしょうキャブ交換3回って。
燃料管理には気を使ってらっしゃるとの事です。
メンテナンスカバーをはぐると何やら配管取り回しが怪しいぞ…
ピンク色のベントチューブが機体内でブラブラ。
このホース、キャブレターのフロート室内の気圧を大気圧と同じ圧力に保つ役目をしてます。
実はEU9iの機体内圧力は外気圧とは違うんです。
運転中にメンテナンスカバーを外すとエンジン回転が変化します。
なので、このホースの先端は機体外に出るようにカバーの穴に差し込む必要があります。
でも、取り回しが間違ってて長さが足りません。
キャブレターを交換したメカニックは理解してなかったんですね。
キャブレターを取り外し内部を確認すると凄く綺麗。
燃料管理は間違いなく実施されてます。
こういうキャブを何度交換しても意味ないです。
なので原因は別にありますね。
インテークマニホールドからバルブを除くとスラッジでベトベト。
バルブにはカーボンも堆積しています。
吹き返しが発生した痕跡です。
これ、バルブスティックの原因なので除去します。
泡状のケミカルで溶かして落とします。
組み上げて試運転すると多少の改善はありますが、もうちょっと行儀よく回って欲しい。
なので空燃比をこのエンジンにマッチする様にセットしましょう。
この機種のキャブレターは低開度域の空燃比をパイロットスクリューでセットしますがメーカー出荷時は勝手にいじれない様にリミッターキャップが取り付けてあります。
このキャップを外さないと調整はできないんです。
正しい外し方はスクリューのくびれたところから「ポキっ」と折って、残った軸を回して抜きます。
そうです、スクリューの再使用ができないんです。
なのでチョッとしたワザでリミットキャップを外します。
無理に引っ張ると折れたりキャブボディーを破損します。
パイロットスクリューが自由に回せるようになったのでエンジンが安定するセッティング位置に回転させます。
これでスムーズに回るエンジンになりました。
エコモード回転でのバタバタが嘘のように静まりました。